誰にでも、生きている中で忘れられないシーンというものはあるだろう。

その時は、日常の一コマであっても、後になって、そのシーンをふと思い出すことがある。

以前、児童養護施設で勤務していた時、入所していた小学生の男の子が里親さんにひきとられることになった。

その頃は、施設での生活の中で、その子が同じホームの子と関係がうまくいっていなかったり色々あったけど、

その子がどういう思いで、里親さんの所に行こうと決めたのか、最後まで話してくれなかった。

明日から里親さんの所へ行くという日の夜、いつもどおり、絵本を読んで寝かせて、最後に僕の手を握ったまま寝ていった。

その時の僕自身の気持ちも、悲しかったのか、切なかったのか、その子の気持ちを少しだけ理解できたからなのか、

不安だったのか、色んな思いがありすぎて、未だにまだわからないのだけど、その時のシーンというのが、今でもずっと心に残ってる。

小っちゃい手をぎゅっと握り締めてた感触。

自分自身が、これからやらなければいけないことと、このシーンが少しだけ関係しているような気がするな。